探偵言いたい放題

結婚前の若桜(わかさ)

 今日も一日仕事が終わった。"GO GO"!23歳、電子機器製造会社でラインの製造を担当している彼氏Aは、同級生のS子と婚約間近であった。S子は、真面目であり、24歳で結婚するのが小さな頃からの夢であった。
 依頼人は、S子の母である。この母は、彼氏Aとたまたま同じ会社でパートとして働いていた。母もまた、娘同様真面目なお母さんという感じの人であった。母は悩んでいた。「実は、会社で嫌な噂がたっているんです。彼氏Aと会社のH子が関係を持っていると…」。そのH子、会社では、彼氏Aの製造ラインのちょうど正面にある業務課で事務職をしていた。また、面白いことにこのH子が給湯室で作業をする時にちょうど、その真後ろで彼氏Aは作業をしているということらしい。最初の頃は、給湯室のH子の後姿をじっと見つめているのが噂の発端となり、その内、社内でちょくちょく楽しそうに話している情報などが次々と出てきたようであった。彼氏Aは、H子の後姿に何を見ていたのであろうか?
 娘も知らないこんな噂を気にしながら母は悩み調査依頼に踏み切ったのであった。娘がふと漏らしている話の中で、「彼、金曜日は、残業が多いので会えないんだ…」という話を聞いたとき、ピンときたようであった。母が調べたところ彼氏Aは、金曜日は殆ど定時(PM5時30分)には、帰っていたのである。
 更に、H子も金曜日は、定時で帰っていることが判った。
 母はこの調査で、もし彼氏AとH子が関係をもっているような事があったら、この結婚の話はなかったことにすると言っていた。ましてや、こんな事をお父さんが知ったら恐ろしいことになるとしみじみ話していた。
 調査実行日は、土曜日に依頼人宅へ彼氏Aが挨拶に来て、お父さんと初顔合わせをする前日の金曜日である。
 依頼者というのは、このような重要な日を向かえる時、調査を実行するものであり、当然人間として知りたいことを知る。真実を知る行動に出るものである。つまり腹が決まった時である。
 毎回そうであるがこれもまた辛い調査である。彼氏Aは決してとんでもなく悪い男ではない。しかし、これらの事実が本当ならば、ましてや土曜日のことを考えるならばやはり悪となる。
 私は、心の中で叫んだ。「落ち着け若き下半身」。
 調査当日を向かえた。時計は、PM5時30分を過ぎた頃、彼氏Aは車で会社を出て行った。母の言う通り残業などしていない。彼氏Aの車には車両追跡装置を取り付けて万全の体制であった。
 その20分後、公園の駐車場に入り込んだ。するとそこには、H子の車があり当然H子が降りてきてそのまま彼氏Aの車に乗り込んだ。私は、「やめとけぇ~と心で叫んだ」
 その10分後、もうラブホテルに入ってしまった。会社を出てわずか30分。私が調査した中でもまれに見るスピードである。"最速レコード"F1並と言ってもいい速さであった。
 とうとうシモ半身は走ってしまった。
 その後、依頼人へ迅速に報告した。真実を全て偽りなく報告するのが我々の仕事である。その結末は、想像を遥かに越えていた…
 //若さゆえ、桜のように、恋散った//
 若い青年諸君注意してくれ!!